こんにちは、さくら(@moi_reallife)です。
先日こんなツイートに出会いました。
「生きのびるために(ブレッドウィナー)」現在Netflix配信中。タリバン政権下のアフガンを舞台に、父親を不当に拘束された一家の娘が家族の為に少年に成りすまして働くが…女性だけの外出もままならず、ましてや命の危険すらある世界に翻弄される少女の姿を痛切なタッチで描いたアニメの傑作。今こそ。 pic.twitter.com/7dWrrJlOzI
— 阿乱隅氏 (@yoiinago417) August 16, 2021
アメリカがアフガニスタンの軍を撤退させ、タリバンが政権を掌握したというニュースを見た方も多いと思います。
2001年に起こった同時多発テロ事件の時、私は7歳。
「タリバンが何なのか」「アフガニスタンはどんな現状なのか」恥ずかしながら、今まであまり知らずに生きてきました。
ということで、アフガニスタンとタリバン政権について描かれた「ブレッドウィナー(日本語タイトルは「生きのびるために」)」という映画を見てみたので感想を書いていきます。
※ネタバレを含みますので、ご注意ください※
タリバンについて簡単に説明
タリバンについて簡潔に説明します。知っているよ~という方は飛ばしてください。
映画を見る前に知っておくと、より分かりやすいので。
同時多発テロ事件
2001年にアメリカ、ニューヨークで起こった同時多発テロ事件。
旅客機をハイジャックして事件を起こしたのは国際テロ組織のアルカイダです。一連のテロで約3,000人の方が亡くなっています。
当時アフガニスタンの政権を握っていたタリバン政権がテロ組織であるアルカイダを匿っていたとして、アメリカがアフガニスタンで戦争を始めます。そして、タリバン政権は崩壊しました。
2009年には、同時多発テロ事件の首謀者とされるウサマ・ビンラディン容疑者をアメリカ軍が殺害します。
2021年8月末にアメリカ軍がアフガニスタンから完全撤退し、20年間に及んだ戦争が終わりました。
しかし、アメリカ軍がアフガニスタンから撤退を進めている間、タリバン政権は着々と支配地域を広げていき、最終的には完全復活してしまいました。
タリバンの女性蔑視
タリバンは、イスラム法の厳格な解釈に基づいた政府を作ろうとしています。
彼らが主張している厳格なイスラム法とは・・・
・女性が外に出る時はブルカ(顔を含む全身を覆う布)を身につけなければいけない
・女性は教育を受けられない
・女性は働いてはいけない
こういった、女性の権利が全くないルールが含まれています。
いくら何でも厳しすぎると思いますよね。でもこれを守らないと、暴力を受けたり、最悪殺されてしまいます。
「女は男の言うことを聞いて、家の中で静かに従っていればいい」
という方針なのです。
現在のアフガニスタンでも、実際に女性が大学に通えなくなっていたり、仕事ができなくなったり、政治に関われなくなっているとのこと。
マララ・ユスフザイさん
ノーベル平和賞を受賞した「マララ・ユスフザイさん」
引用元:Vogue UK
パキスタン人のマララ・ユスフザイさんはタリバンの活動を批判したり、世界平和や女性が教育を受ける権利を主張していたところ、タリバンから銃撃され負傷しました。
今はイギリスに移住し、女性の権利などを訴える活動を続けています。
映画「ブレッドウィナー」:あらすじ感想
引用元:公式note
あらすじ
2001年アメリカ同時多発テロ事件後のアフガニスタン、カブール。
11歳のパヴァーナは、お話を作って家族に聞かせるのがとても上手な女の子。しかしある日、父がタリバンに捕まり、パヴァーナたちの暮らしは一変。
女性一人での外出が禁じられているため、パヴァーナは髪を切り“少年”になって、一家の稼ぎ手(ブレッドウィナー)として町に出る。パヴァーナが目にした新しい世界とは?家族たちの運命は…?
***
映画のタイトルである「ブレッドウィナー」
英語だとbreadwinner、直訳すると「パンを手に入れる人」
つまり、お金を稼げて、食べ物を手に入れることが出来る「一家の大黒柱」を意味します。
映画は小説を元に作られたのですが、その小説はアフガニスタン難民の女の子たちに聞いた「実話」をもとに書かれています。
感想
引用元:公式note
イスラム、アフガニスタン、タリバンのことを全く知らない人でも、今のアフガニスタンの問題が何なのか分かりやすい映画です。
***
映画内でのタリバン側の女性への暴力、発言がそれはもう酷すぎる。
女性だけではなく、パヴァーナ(女)に本を与えたという理由でお父さんが逮捕されてしまいます。タリバンを恐れている町の人も、1人で買い物に来た女性に対しては冷たい態度。
父親がいなくなって女しかいない状況の中、お金を稼いだり、食べ物を買ったりしなくちゃいけない。女性が1人で外を出歩いていると最悪殺されてしまいますから、生きている心地がしないですよね…。
でも私は、お父さんを逮捕したタリバンの男性も何だか可哀そうだなと感じました。
というのも、彼自身、自分が何を信じて、何をしなくちゃいけないのか良く分からないまま、男が権力を持つべきというタリバンの考えに流されている印象を受けました。
それにしても、アフガニスタンで起こっていることは、ただただ、残酷すぎますが…。
追記:今回のタリバン政権
先日行われたタリバンの記者会見で「女性は働けるし、教育も受けられる」と彼らは主張していました。
しかし、記者会見の中で海外メディアから、
・全身をすっぽり覆い隠すブルカの着用を義務付けるのか
・女性にどのような就労機会が認められるか
こういった質問をされてもタリバン側は明確に答えなかったとのことなので、「女性の権利は守られる」という主張は、私は上辺だけの言葉だと思いますが、皆さんはどう思いますかね…。
まとめ
引用元:公式note
最後のシーンで出てくる「怒りではなく、言葉で伝えて」というフレーズが心に残ります。
生まれる国、生まれる性別によって人生がこんなにも違う。残酷すぎますよね。生まれる国も、性別も自分では選べないのに。
異国の世界、宗教や歴史を知ろうとすることは大切だと、改めて感じさせてくれる映画でした。
コメント